まきなお ミニ 小説しりーず

「 私と 小さい○○ 」


* * * * * PROLOG * * * * *

今日、私がHPを作っているとき
どこからか来たのか 小さい小川がとことこと
私のすぐ側までやってきました。私がびっくりしていたら
その小さい小川は着ていた黒い皮の上着をバッ!と脱ぎました。

ふと 部屋の入り口を見てみると
そこには 小さい三沢が腕を組んでこっちを見ている姿がありました。


* * * * * 第1章 * * * * *

小さい小川と小さい三沢がやってきてから私の平和な日常は完全に崩壊してしまいました。

小さな小川は少々自己主張が激しいものの、まだおとなしい方でした。

困ったのは小さな三沢です。私が入浴をしていると
ガラス戸を少し開けて そこから小さい三沢がじっと見ているのです。
当然、下着も荒らされていました。

これを書いている今は 小川は私の靴下のなかですやすやと、
三沢は 私の下着にくるまって よだれをたらして眠っているのです。

日に日に三沢のいたずらは激しくなり、小川すら三沢の真似をするようになりました。
そして 私はノイローゼ気味になってしまいました。


* * * * * 第2章 * * * * *

そんなある日の昼下がり、私のもとに突然1本の電話がかかってきました。

「あなた 困ってませんか?」
やや 営業口調の中年男性の声でした。
どう答えて良いのかもわからずに黙っていると、
彼は私の反応を待つまでもなく 矢継ぎ早に話を進めました。

「 当社では お困りのあなたにすばらしい製品を用意しております。
ただいま キャンペーン期間中でありまして 金利手数料無料の
特別価格において ご提供しております。他ではぜったいに手に入らない
素敵な商品をお困りのあなたに郵送いたします。
いかがなさいますか?」

普段の私なら セールスの電話などすぐに切ってしまうのですが
やはり 冷静さを失っていたのでしょう。彼の言われるがままに契約をしてしまったのです。

後で気づいたのですが、私は何の商品であるかすら聞いてなかったのです。
そして もうひとつ、その時後ろで暴れていた三沢と小川が
少し けげんな表情をみせたような気がします。


* * * * * 第3章 * * * * *

それからさらに数日が過ぎた正午前に話しはうつります。

私の狂気の日々はますます地獄のようでした。
今は小川は靴下のなかで寝ているのですが三沢は私につきまとい続けています。
そこに玄関のチャイムが鳴りました。

フェイスロックをかける三沢をどうにか振りほどき宅急便を受け取ったのです。
忘れかけていた商品が届いたのです。
それは電話帳2冊分くらいの包みでした。
中の物に興味があったわけではありません。
ただ、包みはあけるものだという反射的な行動でした。

厚手のダンボールのふたをとると 小さな川田が目を開けました。
小さな川田は 屈伸運動をすると おもむろに小さな三沢のほうに飛び上がり
顔面を蹴りつけました。三沢は油断していたのでしょう。
ガードもできずにまともにくらいました。
そして川田は「キャッキャ」という奇声をあげて三沢を蹴りつづけたのです。
もちろん、三沢は三沢ですから 簡単にはまいりません。
戦いは30分以上にも続きました。
しかし 川田のローが三沢のひざをとらえてから川田の1方的な攻勢でした。
そして ストレッチプラムが完全にはいったとき 私は平和な日常がかえってくることを
確信したのです。小川が目をさますまでは・・・。


* * * * * 第4章 * * * * *

三沢の体をしぼりあげる川田の後頭部を衝撃がはしりました。
背後から 小川の延髄ぎりが炸裂したのです。
川田は半 失神状態です。そんな川田を小川はまるめつづけます。
そして、三沢も息をふきかえし川田をいたぶりつづけます。

やはり私の平和はこないのでしょうか。
せめて 川田に加勢をと 川田のはいっていた箱を三沢に投げつけようとしました。
ところが その箱が妙に重いのです。ビニールのプチプチした詰め物をとると
その下には 小さな田上がいました。小さな田上は小さいといっても他の3人より
明らかに大きいのです。そして 良く眠ったようで元気な田上は小川と三沢に
ハイキックを連発しました。田上がいればよみがえるのが川田。
喉輪&岩石落しで小川はグロッキー。ひとりになった三沢についに
奈落喉輪が炸裂。下駄箱から玄関マットに叩き付けられたのです。
ついに 私に平和がもどりました。

小さい田上 : 「 川田は強い 」
小さい川田 : 「 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・」


* * * * * EPILOG * * * * *

そして ひとつきが過ぎました。

川田と田上は ティッシュカバーの上で寝ています。
少し いびきがうるさいですが 平和なものです。
川田は私に歌を歌ってくれて、田上はイモをふかしてくれます。
前よりも 幸せです。
おしまい


原作 : まき
口述筆記 : なお



1998年


注:実在の人物、団体とは関係ありません。

■ 登場人物紹介 ■



小さい小川

小さい三沢

小さい川田

小さい田上




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